【あらすじ】
桂城バンク勤務の蔵野悠介はある日突然、グループ総裁子息・聖也の「教育係」に任命される。大学生の聖也は純粋で美しい青年だが、あまりに高慢だった。これまで冷静沈着を貫いてきた悠介も一筋縄ではいかない聖也に手を焼き、その境遇に耐え切れず苦手な弟・賢司にこの仕事を押し付けようと助けを求めた。しかし自由奔放な賢司はそれを楽しんで受け入れ、悠介の神経を逆撫でする。結局、兄弟で聖也の「教育」をすることになったのだが、聖也を手懐ける賢司に嫉姑した悠介は…。
日本最大級ネット書店のイーブックオフ
【感想】
@古本市場
あとがきでもセルフ突っ込みがされていますが、これまでの綺月先生は堂々とし過ぎる程に獣姦やフィ○トまでを描いておきながら、実は3Pを描くのは初めてとの事。妙に新鮮味を覚えた事はここだけの話です。
さて。
冷静沈着で優秀、一介の銀行員である蔵野悠介(美メガネ30歳)は、葛城グループ総裁子息・聖也の「教育係」に任命された。22歳の年齢に美しい美貌を持つ聖也は、特殊な環境(顎を外しかけるセレブ振り+ある種のギャグとも思えるような特殊環境です)で育った為に高慢だった。悠介も手を焼いた。祖父同士の因縁から聖也に対する服従を強いられたが、遂には匙を投げる事に。生真面目で冷静沈着を”装う”自分とは対照的に、弟・賢司(タトゥー付きの美丈夫で豪放磊落系の25歳)は要領良く生きている。様々な要因から鬱屈している悠介は、因縁に賢司を引きずり込んだ。しかし一方的に賢司に聖也を押し付けようとする悠介の思惑は大きく外れる。
まずは出逢った当初の悠介と聖也の関係が凄い。特殊な環境で育った聖也は、高慢で傲慢だった。聖也がそうした形で成長してしまった事には、聖也自身には非の無い過去体験から過保護に徹してしまった総裁や、亡祖父の影響が強い。総裁自身も聖也をこのままにしてはおけないと強く感じている。そこで、悠介に白羽の矢が立ちます。悠介が教育係を任命されるのには、それまでの仕事面での優秀さと併せ、葛城家と蔵野家の祖父の代からの因縁を引き合いに出されての事。初めは軽く考えていた悠介が裏を知った時、自分を押し殺してでも聖也に服従するのには、じいさま達のアレコレが災いしています。
教育係とは名ばかりに、聖也にいいように振り回される主従関係は本当に凄い。そして酷い。聖也の高慢+傲慢振りは凄まじいもので、それに悠介が抵抗を示せばメガネが吹っ飛ぶ程の平手が出ます(今作では、「悠介のメガネがどうこう」的な描写が何箇所かであって、メガネ好きとしてはテンションが上がりました)。その後も身辺の世話役として理不尽な扱いを受ける悠介の様子は、痛々しい程。勿論、聖也が傲慢な態度を取るのは悠介だけには終わらず、メイド達の退職も続く。心身ともに疲弊してしまった所で、これまで鬱屈を抱えていた弟・賢司を利用しようとする。悠介と賢司の間には、兄弟間のアレコレがありますからね。
それがまあ、最終的には3角関係に発展する訳です。男三人の三角関係です。これ自体は珍しいものではありませんが、三人の心理状態を考えると面白かった!
自信に満ち溢れていて要領も良く、人の心を掴む事が上手い賢司の登場は、悠介も聖也も大きく変える。悠介の事に関して以外は大きくは変動しない賢司はさておき、悠介と聖也の成長振りには目を瞠るものがありました。
過保護に育てられたあまりに、知らない事が多過ぎた聖也は世間を知るようになる。本来の純粋さやおおらかさが前に出るようになり、悠介は聖也に惹かれるようになる。しかし、賢司の存在がネックになって鬱屈は広がる。そうこうしている内に、実は賢司が悠介に惹かれている事も判明する。とは言え、悠介が賢司に沢山の劣等感や鬱屈を抱えているように、賢司も悠介に対しては沢山の劣等感や鬱屈を抱えていた。血の繋がりや兄弟間のアレコレが、二人の関係をギクシャクさせていましたが、間に聖也が存在する事によってバランスが取れるように。
聖也が悠介・賢司兄弟を手放せないように、悠介は聖也を、賢司は悠介を手放したくはない。三角関係は三角関係なんですが、三人恋愛にしても、「一人が二人を同じように好きだ」とだけ感じている事はありません。+αがある。聖也は悠介と賢司の夫々の長所を理解した上で、二人が手放せないと考える。悠介は聖也と賢司への感情に違いを持ち、賢司もまた、悠介と聖也に対する感情には違いがある。三人恋愛にしても、夫々に視点の違う恋愛だと言う事が面白かったです。
エロも面白かった!あまりに世間を知らない聖也の為、賢司が企画をした突発的な旅行先では、聖也の性の目覚め的な妖しいイベント(しかもそのきっかけは、賢司からの電気按摩!思わず爆笑してしまった事は、ここだけの秘密です)が浮上するものの完遂は無し。愛し始めていた聖也を賢司に取られてしまったと勘違いした悠介が行動を起こしたりもしますが、冷静沈着なはずの悠介が、エロイ感じで聖也に触れる様子にテンションがあがりました。ストイックに見えるものの、本性が出ると結構エロがしつこいですね。実は結構、突っ走ってしまうと周囲が見えない人間なのかも知れません。今回は突っ走りきる事はありませんでしたが、何でも適当で鷹揚に構えている賢司の方が、実は冷静な事もありそうですよ。
そんな賢司が作中でも指摘していましたが、悠介は中々心を表に出さない。表面上では完璧を装いながらも、本心を曝け出す事が苦手な為に、過去の恋愛も上手く行かなかった。それ故に、女性の恋人を賢司に寝取られる事もありましたが、内心の狼狽を見せないようにして恋人関係を終わらせてしまった。賢司が悠介の恋人に手を出したのは、悠介が本命だったからと言う明確な理由がありましたが、生真面目で自己保身の強い悠介が、自分の恋人を悠介に寝取られても、その件をアッサリと流したように見せた事には、実は不器用な性格が現れています。内心では嫉妬や葛藤でグズグズですしね。
文字通りに兄弟を股にかけた当時の女性と言えば、悠介が本心を曝け出してくれない事に気付いていました。それを賢司に言わず、悠介に直球で言ってやれれば良かったような気がしますが、後にちゃっかり弁護士の妻に納まって子供を儲けている辺り、とても強かだと思いました。こう言う些細な部分に、(日常生活でも目にする機会が多く辟易している)女の生々しい貪欲さを感じてしまう事にはゲンナリします。しかし、メインカップルが異性同士であるBLを読むとストレス解消になったり、癒される事が多いのには、異性同士が恋愛をしてしまうファンタジーが、現実生活からよりかけ離れた存在である事が大きいのかも知れません。フィクションを徹底したフィクションとして楽しめると言うか。
少々話は脱線しましたが、賢司によって聖也への自分の心に気付かされ、賢司の存在がある事で隠された本心を曝け出し始めた悠介にテンションをあげました。ストイックに見えてスケベなメガネって良いですね!(身を乗り出しつつ)
しかし、悠介×聖也が完遂・・・されるのかと思いきや、この時点では完遂はしていません。
血の繋がりを気にして悠介に本心を曝さなかった賢司が、悠介への想いを語った所で、初めて本当の三角関係が成立する訳です。そりゃあまあ、獣姦やフィ○トに比べれば温いかも知れませんが、三者三様の想いを遂げる為の初3Pが見所です。初3Pで初物二人って美味しいですね。悠介×聖也が完遂間近の所で、賢司登場。そこから話は転がり、賢司×悠介が成立。傍で聖也がただただ指を加えて見ているだけには収まらず、無邪気に貪欲に参戦。賢司に攻められている悠介(後ろは初物でした)が、賢司に誘導されながら聖也の初物を奪うと言う、好事家にはたまらないシチュエーションでした。
3Pものってのは一組が繋がっていると、残る一人は奉仕やお触り等で参加をする形が多いですが、正真正銘の3ケツ3Pでした。「
ランブル・ラッシュ」以来のはしたない大人の電車ごっこですが、夫々の心理状況に盛り上がって仕方がありませんでした。「一人が二人を支配する」、「二人が一人を共有する」等、心理描写や力関係に面白さを感じるのが3Pですが、今作の三人の関係性も面白かった。
祖父の代からの因縁では、聖也は蔵野兄弟を支配する形、そして二人の違いを理解しながら大切にする形を取りますが、そこには恋愛感情だけではない部分も大きく存在している。特殊な環境で育ち、優秀な頭脳を持ちながらも屈折してしまった自分を育てて、見守ってくれる存在だと言う事も知っている。しかし恋愛では、悠介×聖也、賢司×悠介が成立している。だからと言って、そこから外れるもう一人には、「ただの共有関係」と言う意識を持たせるものではなく、夫々の恋愛を成立させる為の重要な役回りと、成立しているカップルを支える為に必要な歯車として存在する訳です。過去の濃厚な綺月作品に比べたらエロは温いかも知れませんが、個々の恋愛感情を差し引いても、三人でいる事には大きな意味合いが生じるのが面白い。
本編全部が蛇足の感想文になったのでそろそろ打ち止めますが、数年後の三人の関係が気になりますね。蔵野兄弟が上手く支えて成長させて、聖也は立派な企業人になっていそうですが、恋愛感情を絡めた三人の関係も、(エロを含めて)より豊かなものになっている気がします。賢司は攻の聖域に入ってしまっている気がしますが、悠介×聖也に関してはリバにだって発展する事だってあるかも知れません。続編が読みたい!
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