【あらすじ】
親友への想いに気づいたカレスは、胸の痛みに耐えかねて出向いた酒場で、暴漢に絡まれたところを山賊のような男ガルドランに助けられる。カレスは酔った勢いで抱かれ、肉体を責められるその行為に奇妙な慰めを見出すが…。
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【感想】
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六青先生の作品と言う事で、今回も受が可哀相な事になっています。矢城先生に並ぶ陵辱作家の六青先生ですが、「流石に今回はドS過ぎるのでは?」と真剣に考えました。過去にも不憫な受は沢山存在しましたが、今回の受は、それを凌駕する不幸振りです。生まれた時から不憫フラグが立ちっ放しで、ラストまでに幸せを実感出来た事も本当に少しだけ。思わずエドワード・ゴーリーの「
不幸な子供」を連想する不幸振りに戦き、狼狽しまくりました。その上、攻も結構可哀相です。
痛い話が苦手な方は、以下の感想の閲覧にはご注意下さい。
さて。
幼少期に両親から捨てられたカレスは、ノルフォース領土に住む遠縁の親戚に預けられた。そこで初めて「家族」と「親友」を得たが、兄弟のように育ったライオネルに想いを寄せるカレスだったが、ライオネルは別の少年・エリヤを愛していた。誰よりもライオネルを知っている自負があったカレスは、ライオネルの心がエリヤに傾く事を許せず、エリヤに手酷い仕打ちを行った。その結果、エリヤは胸を患う事になった。その上ライオネルとエリヤの絆は深まり、カレスとライオネルの間には溝が生まれてしまった。エリヤへの罪に苦悩しながらも、ライオネルとエリヤの関係には嫉妬をする。
悲しみと憎しみと懺悔の気持ちに気鬱になりながらも、領主となったライオネルを、カレスは右腕として支え続ける。ライオネルに真心を捧げた所で、同じように自分が愛して貰える事は無い。感傷的な自己憐憫を抑えられないカレスだったが、領主であるライオネルの為に生きながら、恋人にはなれない。複雑な日々を送る中、ライオネルとエリヤの睦言を聞いてしまったカレスは自棄になる。敢えて知らない男達に凌辱をされるがままでいた所を近隣領主のガルドランに助けられた。
ここで、ガルドラン×カレスに発展するのかと思いきや、簡単には行きません。カレスのライオネルとエリヤへの思いは重く爛れる。自虐と自傷が勝ったカレスは、悲惨な状況でガルドランに抱かれる事になる。翌日、ライオネルからエリヤを抱いた事を教えられたカレスは傷付きますが、カレスの想いに気付かないままでエリヤへの愛を語るライオネルが憎い。
エリヤと言う最愛の恋人を得て、幸せの絶頂にいる事は良い事だとしても、あまりにも鈍感なんですよ。ライオネルにとってのカレスは、あくまでも兄弟同然に育った関係、そして仕事上の有能なパートナーと言う存在意義があるのみ。絶対に恋心が生まれない存在な訳です。
勿論、ライオネルが悪い訳ではありません。不憫なエリヤを助け、そしてエリヤを愛しただけ。領土内で疎まれている禁忌の関係を自覚しながらも、エリヤを愛し続けるだけ。これはこれで純愛なのですよ。
でも、カレスにしてみれば堪ったものではありません。愛した相手には愛されず、惨めな自分を痛感するのみ。ライオネルを求めながらも、絶対に手に入らない存在だと自覚をしている。それでも、せめて仕事上の右腕だけの存在でも良いから、ライオネルの傍にありたいと願っているだけ。
しかし運命は残酷です。カレスはライオネルとエリヤの睦言を聞いてしまった。それがきっかけとなり、心荒れたカレスは隙を作ってしまい、見知らぬ男に陵辱をされ・・・かけた所を、近隣領主のガルドランに助けられる。ガルドランは半年前に妻を失っているが、カレスがそれを知る事は無い。ガルドランに助けられた事に安心をする訳でも無く、不必要にガルドランを誘ってしまった。カレスの心は空虚になり、なげやりになり、自分を傷付ける為にガルドランに抱かれる。ガルドランに乱暴に抱かれる事が、自己防衛の手段となってしまう。傷付き、傷付けられる事で自分を保つのがまた痛い。エリヤを憎いと思いながら、エリヤに対して自分が行った罪を罰する為、償いの意味を込めた自傷思考が生まれる事が辛い。
悲しい初体験を経た翌日にも、カレスにとって辛い現実が待ち受けています。自分がガルドランに手酷く抱かれていた頃、エリヤはライオネルに愛されていた。しかもその事実を、ライオネルの口から直々に聞かされる訳です。自分は惨めな初体験を迎えていた頃、恋敵は幸福の絶頂にあった。話半ばにすらならない序盤なのに、六青さんの受に対する仕打ちは痛い限り。
とは言え、ガルドラン。悪人では無いので、カレスを優しく抱く事も。しかしそれがカレスにとって一番辛い事なんですね。優しく抱いてくれる相手はライオネルではありませんから。傷付く事でしか自分を受け入れられないんですよ。で、職務がある時にはライオネルとエリヤが目に入り傷付く。
そうこうしている内に、同性愛が禁忌とされている土地に住みながらも、人目をはばからないでエリヤを愛するライオネルが原因となり、ライオネルと敵対する男に脅しの材料を与えてしまう事になる。ライオネルとエリヤの逢引を理由にカレスは脅迫されてしまう。しかしカレスはライオネルを守る為、男に身体を捧げ、悲惨な目に遭います。陵辱の様子は手酷い。陵辱が終わった後、またもやガルドランに助けられるカレスですが、カレスが不憫なあまり、「ガルドラン、もっと早く助けに入ってやってよ・・・!」と本気で考えた事はここだけの秘密です。
カレスと関わりを持つ中、ガルドランはカレスに特別な感情を覚えるようになりますが、カレスの心はライオネルにしか傾かない。親友を失い、妻を失い、新たに愛する者の心は手に入らない。ガルドランも不憫な攻ですよ。ガルドランがカレスに対して恋情を大きくする中、カレスの心はますますライオネルに傾いてしまいますから。
その上自分を脅し陵辱をした男が、ライオネルに敵対する人物であった事から、カレスは一つの計画を立てる。自分を陵辱した男の呼び出しを受け、陵辱されている現場を信頼出切る人物達に目撃させ、ライオネルに敵対する男を一掃します。報われない想いを抱えながらも、ライオネルへの恋情を消す事が出来ないカレスは、捨て身でライオネルを守った。
事件が明るみになり、ライオネルに敵対する人物達は裁きを受けますが、それでもライオネルはエリヤを大切にする事を止める事は無い。カレスのライオネルへの恋情を知るガルドランは、ライオネルへの苛立ちを湧かせ、しかしカレスの心がライオネルにしか傾いていない事実を受け止め、そして苦悩する。
恋人になれないまでも、カレスの寂しい心を知るガルドランは、カレスを気にかけ続ける訳ですが・・・。
カレスの心が壊れてしまう事を防ぐ事は出来なかった。ライオネルへの恋情を捨てきれないカレスは自傷行為に走り、夜な夜な自分の身体をナイフで切り付けるようになり、その上、少しずつ心を寄せていたガルドランにも女性の影を見てしまった(実はガルドランの従姉妹なのですけれども)。愛する人には見向きもされず、少しずつ心を寄せていたガルドランには最愛の存在がある。そう思い込んでしまったカレスの心は更に孤独に荒む。仕事をしている間も、複数の同性に汚されたと言う事実が周知されていて、生き難い環境が出来上がってしまう。自分を守る為に傷付いたカレスを想い、ライオネルは噂を払拭しようと躍起になりますが、それも思うようには行かない。兄弟同然に育ったカレスの心を知ってさえ、恋人のエリヤの存在を上回る事は無い。カレスはそれを解っているから、ライオネルを攻め立てる事はしない。不幸のスパイラルは下に落ち込む一方です。自傷で安心感を得る事の深みに嵌ってしまったカレスは、衰弱し、遂には廃人同然に。それまでの過程には、遺書まで用意をしています。
周囲の人間達が気付いた時には、すっかり心を病んでしまい、死は免れたものの、一日の殆どを眠ったままで過ごすカレスの痛々しさはハンパないです。カレスの心を知るガルドランは、憤ってカレスの心を伝える為に、カレスとエリヤの二者択一を迫りますが、ライオネルが選ぶのは勿論エリヤ。
徹底して報われません。ガルドランは、エリヤを取るライオネルを想定していた事もあり、そして自分の心が報われない事を知りながらもカレスに傾いている事を自覚し、廃人同然となったエリヤを引き受けます。エリヤがいつか回復して、以前のように自分に憎まれ口を叩いてくれる事を信じながら。しかし、エリヤが回復をしないとしても、エリヤの一生を背負うと覚悟を決めて。結果として、愛するカレスを手に入れるガルドランではありますが、この人も本当に報われません。自分の傍に愛するカレスを置く事が出来る。そこに対しての幸せは噛み締めているでしょうが、六青先生は攻に対しての仕打ちもドSでした。胸を患い、腺病質になったとは言え、愛するエリヤと意思の疎通が可能なライオネルを恨んでしまいそうな展開でしたよ。只々純粋にエリヤを愛しているだけの人物ですが、ライオネルとエリヤの愛情の深さが明るみになる事で、カレスとガルドランの不憫は加速します。
廃人同然になって漸く、自分を愛してくれる存在となったガルドランに守られる事が、カレスにとっての幸せになるのかは解らない。カレスは、ガルドランが自分を愛してくれると言う事を知らないままで、守られて行く事になりますからね。心を閉ざしたままで。
このままで終わられてしまうと、カレスもガルドランも痛々しく不憫で仕方がありません。せめて続編を出して頂いて、心が回復したカレスが、ガルドランに恋をして、ガルドランのカレスの想いも報われる展開が見られるようにして頂きたい。恋愛感情がきちんと伴わないままで、必然的とは言え、一方的な感覚の残るカップリングが成立するのは痛々しいです。
せめてカレスが心を閉ざしてしまう前に、ガルドランがライオネルからカレスを奪えていれば良かったのでしょうけれどもね。いつも予防では無く、事後に動く形が目立ってしまうガルドランにも苛立ちを覚えました。この人はこの人で不憫な所はありますけれども。
何はともあれ。
本当にあまりにもな結末なので、この二人を幸せに導くフォローが欲しいと思いました。
ruin-傷-(BK1)
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