【あらすじ】
通り魔に襲われた高校生の由原尚季は、狩野飛月という男に助けられる。強引な手口により、飛月と一緒に暮らすことになった尚季は、凶暴そうな見た目に反し、無邪気で優しい男に急速に惹かれていく。だが、仕事に行くたび尋常さを失う飛月に、尚季は昼夜を問わず、荒々しく抱かれるようになる。次第に獣じみていく飛月の異変に不安を覚える尚季は、彼が凶悪犯罪者を抹殺するため、秘密裏に造られた「猟獣」だと知り―。
日本最大級ネット書店のイーブックオフ
【感想】
オンライン書店ビーケーワン
「何だこのタイトルは・・・!」
と発売前から気になっていたものの、入手が遅れ、読み終えるのが遅くなってしまいました。
さてさて、獣姦。
古くは綺月先生の
犬、山藍先生の
猿に
泥鰌やら何やら、夜光先生の
蛇(触手、とも言えなくはありませんが)と色々ありますが、今作は「犬上がりの猟獣(狼系)」。
過去の感想記事の痛々しい事には頭を抱えそうになりますが、改めて見るとこのブログ。結構獣姦ものを取り上げているんですね。
管理人の人間性や品性が疑われる感想記事ばかりで、我が身から出した錆ながら、とても感慨深いものがあります。
気付けば前置きが長くなりましたが、そろそろ感想に行かせて頂きますよ。
まずは「オオカミ版人魚姫」。作品の帯を目にし、タイトルに続いて「何だこれは・・・!」と思ったものですが、思っていた程のトンデモ・キワモノ系作品ではありませんでした。しかも、「死刑制度が廃止されている日本」や「禁忌の生物」と言ったものが登場する事もあり、中途半端に現実に押し戻される事なくフィクション世界を楽しむ事が出来ました。
と言った所で、まずはあらすじを軽めに。
父子家庭で早い時期から自立を求められた尚季は、父親に対する甘えを我慢して育った。寂しさを飼い犬との触れ合いで満たしていたが、幼い頃に2度、悲しい別れを経験してしまう。大切なものを失う事を恐れるようになり、今では大切なものを作ろうとせず、他人との関わりも最低限に抑えて暮らしている。
しかしある時、狩野飛月と言う男に付き纏いを受けるようになる。尚季の過去を知る口振りと、過剰な懐き具合に辟易していたが、暴漢に襲われた所を飛月に助けられる。
自分を助ける為に殺人を犯した飛月を、複雑な思いで自宅に匿う尚季だったが、共に暮らす内に、飛月が人間と狼との間に生まれた「猟獣」である事を知る。
作品の舞台は、収容先の許容限度を超える罪人が存在するのに、死刑制度が廃止されてしまった日本。凶悪事件を起こした人間が、量刑よりも軽度のお勤めで出所してしまう世界。その結果が、再犯率の高さを引き起こしてしまう訳ですが、そう行った犯罪者達に”私刑”を与えるべく、国が秘密裏に作り上げた生き物が「猟獣」であり、その目的は対象者の抹殺・処理特殊機関で生産された猟獣達は人知れず、国からの命令で職務を全うしている。
猟獣である飛月が何故、尚季の元に現れるのかと言うと、実は飛月は、過去に尚季が助けた犬(正確には狼だが、その頃の飛月は子犬のようだった)であったから。機関からの輸送中、逃げ出して道路に飛び出した所を車に轢かれ、瀕死の傷を負っていた所を、幼少期の尚季に助けられた。別れるまでの短い間に、尚季から沢山の愛情を注がれた事も大きい。
猟獣として作り出された生物達には厳しい教育がなされ、その中でも国からの職務に就けるのは、優秀な極僅かの猟獣。幼い尚季と離されてしまった飛月は、尚季との再会を夢見て猟獣の中でも最高位の「アルファ」に昇格。アルファに昇格した猟獣は、それまでの待遇と比較をすると破格の自由と扱いを得られる。
しかし、人間→猟獣との変態を繰り返す事は、猟獣にとっては大きな負担を強いられる。尚且つ、猟獣が獣の姿を取る間は、年齢の重ね方も獣と同じになってしまう為、人間態の姿にも影響を及ぼす。限界を超えると最終的には自我を失い、仲間から処理をされる事も覚悟しなくてはならない生き物でもある。
そんな理由もあり、飛月は尚季との蜜月を、「そう長くは続かないもの」として大切にしていたが、傷付いた身体で”仕事”をこなす内に、限界値を超えてしまった。
自分の自我を失いつつある事を悟った飛月は、処理される事を覚悟し山中に向かうが、その頃には飛月を大切な存在だと認識していた尚季も後を追った。
夫々に覚悟を決めた二人の交わりが、今作のメインイベント・獣姦と言う訳ですが・・・。
いやー。
これは新鮮でしたよ。過去に読んだ獣姦の殆んどは、「受が嫌がっている状態で無理矢理にやられてしまう」パターンが多かったのですが、今作での獣姦は本当に「愛ある獣姦」でした。
獣姦なのに、人間と獣との間で意思の疎通が出来てしまっています。自我を失いつつあり、信頼出来る仲間からの処理を待つだけの身となった飛月と、その事実を知りながら、最期まで一緒にいたいと願う尚季が健気。
「今生の別れ」を意識した中での交合が、ヴィジュアル的には凄いものがありますが、これが結構ドラマティックな展開。二人のお互いを思う強い愛の効果か、その後の飛月は自我の喪失も回避。ラストはハッピーエンドで読後感も悪くありません。獣姦なのに、スッキリするエンディングが見られた事も新鮮でした。
プレイ面のメインプレイを布越しプレイに絞っていた辺りも興味深かったです。
俎板プレイに
おんぶプレイ、カエル親父の
料亭入れ歯抜きプレイ(即ち生歯茎プレイ)等と、萌えなものからトンデモ・キワモノ系までを見せてくれる沙野先生ですが、個人的に布越しプレイは、おんぶプレイに次ぐ萌えプレイでした。
布越し、ってエロイですね。
ソフトタッチも激しいタッチも、「布越し」と言うだけで、直触りプレイとは違った趣があって新鮮。
そして予想外に萌えたのが、本編終了後の猟獣カップル・月貴×睦月編。
月貴に心を寄せながら、自分も想いが報われない事を自覚している睦月が切ない。睦月の報われなさに切ないと思いつつ萌えていたら(人でなしですみません)、後に明らかになる月貴の本心にも萌えてしまって大変でした。持ち前の不器用さから、睦月への本当の想いをひた隠しにしていたのだと思いますが、最後の最後で心を通じ合わせる事が出来て本当に良かった。
二人が本当に一つに重なる為には障害だらけで、実現する際は本当に今生の別れになってしまいそうですが、その辺りの切なさも良かった。
プレイ面も布越しプレイだけに終わらず、「愛ある素股プレイ」の発生で大萌え。
私、これまでに読んだBL作品の中で、素股でここまで愛を確かめ合う作品には出逢った事はありませんよ。
勿論、大満足。
そして何よりも感動的なのは、ここで月貴の人間性が判明した事で、飛月に援助交際を教えた際の月貴が、からかいではなく真面目な手段として教えていたと思われる事。
「本命には真面目で、でも上手く本心を伝えられない不器用さも持つ月貴が、精一杯に考えた飛月が尚季と関わる為の手段が援助交際だとしたら・・・?」
等と考えると(妄想すると)、妙に萌えます。
真面目っこが真面目過ぎたせいで、”真剣なのに”妙な方向に空回りをしてしまう事は大好きです(え?)。
これ以上この作品について言及すると、変態の割り増し。益々痛々しい事になるので打ち止めとさせて頂きますが、久々に大満足をした沙野作品でした。
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